Other Factor
日々ダイヤモンドを観察しておりますと、これは綺麗だなと見つめ直したくなるものに遭遇いたします。
基本的にそれはやはり4Cグレードが高いダイヤモンドであったりするのですが、観察室から出てもう一度見直すと「あれっ?」という感覚になる場合があるのです。
カットの考察(2)の項で、ダイヤモンドの輝きの要因にブリリアンス(目に戻ってくる光の総体)とディスパージョン(ファイア・内部で光がスペクトル効果を生み虹色に変化する現象)があると述べました。
これはプロポーション(主にテーブルサイズ)の違いにより、両者並び立たない相対する要因であるとも述べました。
個人の審美眼(美的感覚)は人それぞれですので、ブリリアンスを綺麗と感じるか、ディスパージョンをより美しく感じるかによって評価は変わります。
また、観察する環境によって、眩いばかりだったブリリアンスが違う環境下では白っぽいと感じたり、輝きが今一つと感じていたダイヤモンドが、違う環境下ではディスパージョンにより、魅惑的な虹色の輝きを発したりするのです。
宝石店内では魅力的に輝いて見えたダイヤモンドが、自然光下では今一つ輝かない様に見えるのは、これらの要因が理由と言えるでしょう。
すなわち、同じカットグレードでもプロポーションに差異があるため、4Cが全く同じでも輝きの印象が異なるのは当たり前の話なのです。
あなたのダイヤモンドは綺麗ですか?
店頭へお客様がダイヤモンドジュエリーのクリーニング(洗浄)にお越しになった際、クリーニング後の状態を見て一様に発せられるのが「新品の時の様に綺麗になった!」「元々はこれだけ輝いていたんだ!」というお言葉です。
同じ場所で同じものを比べても、その状態が違うだけで輝きは全く違って見えるのです。
ダイヤモンドジュエリーを着用されますと、汚れを避けることは困難です。
高級宝石店の綺麗に保管された状態のダイヤモンドと、ご自分が着用されているダイヤモンドを比べ、同等グレードなのにやはり高級店にはかなわないと仰せの方がおられますが、その要因は気持ちの高揚を除けば、上述したプロポーションの違いによる輝きの特性の違い、もしくは保管状態の違いであると言えるでしょう。
状態がベストでなければ、いくらカットグレードがエクセレントであっても、綺麗に保管されたベリーグッドには及ばないのです。
ダイヤモンドの輝きに対する4C並びにオイリーと呼ばれる蛍光性以外の要因は、本項で記述した環境、審美眼、プロポーション、そして状態の違いがほぼ全てであると考えられます。
何故なら最後の科学的要因であるダイヤモンドのタイプは、全体のわずか2%弱にしか該当しないからです。
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