Four-Cs

Synthetic Diamonds

合成(人工)ダイヤモンド(2)

合成(人工)ダイヤモンドの製造方法

合成ダイヤモンドの製造方法は大きく分けて以下の2つから成り立っています。

高温高圧(HPHT)

・基本的に自然のプロセス(地中深くの強烈な熱と圧力によって炭素がダイヤモンドとして結晶化する)を模倣したもの。

・莫大な設備投資が必要。

・主に黄色や茶黄色のダイヤモンドを生成。

・プロセスが自然のものを模倣するため、グレイニングパターン(成長線)での見分け方は困難。

・初期のゼネラル・エレクトリック社はこの方法。

化学蒸着(CVD)

・メタンなどのガスを真空チャンバ内に注入し、マイクロ波でガスの分子を活性化および分解、雪が降り積もる様に種結晶に炭素原子が蓄積する。

・中程度の温度および低い圧力で動作し、より小型で安価な装置で済むため、はるかに低コスト。

・炭素といくらかの水素しか含まれていないため、原理的には無色の結晶を成長させることができる。

・プロセスが自然のものと違うため、グレイニングパターン(成長線)で見分け方が簡単。

化学蒸着+高温高圧処理で飛躍的に技術が進歩

CVD合成の発見で、迅速で安価なダイヤモンドの製造がすぐにも可能だと思われていましたが、実際は品質が一定でなく主に茶色の石が生成され、その期待は外れてしまいました。

しかし、種結晶にタイプ2(ダイヤモンドのタイプ)合成ダイヤを使用し、高温高圧の後処理をすることで、カラーを改善し成長速度が速まる事が発見されました。

最後の工程で高温高圧処理をするため見分け方も困難になりました。

フロリダ州サラソタのGemesis社は、初期にはHPHT法で合成ダイヤモンドを製造していましたが、2012年3月に無色のCVD合成ダイヤモンドの販売を開始、他のいくつかの会社も追従しました。

合成ダイヤモンドの鑑別

当初天然ダイヤモンドには見られないグレイニングパターンや、特徴的な蛍光反応を示したため、容易にCVD合成のダイヤモンドは鑑別が可能でしたが、その後の発見(高温高圧の後処理)で鑑別ははるかに困難になりました。

高温高圧の後処理はカラーの改善のためだけでなく、明らかにその特徴を隠すために処理されていました。

しかし、その後固有の分光特徴が発見され、DiamondViewという最新の機器でフォトルミネッセンスや紫外線蛍光反応を測定することで、これら合成ダイヤモンドの鑑別が可能になりました。

GIAと各国の主要鑑定機関は相互の情報共有を通じ、最新機器の導入と鑑別技術の向上に取り組んでいます。

最新動向

製造技術は進歩しており、鑑別技量もまた進歩しています。

新たに膨大な予算を注ぎ込み、高温高圧処理で大きくて高品質な合成ダイヤモンドを作ろうとする試みや、高圧発生装置を使わない化学蒸着+低温高圧処理(LPHT)も開発され、CVD合成ダイヤモンドの製造者はコスト的な有利から今後は技術開発とともにLPHT処理が普及する可能性があります。

GIAの名誉研究員であるJames Shigley博士が、2017年度JCKラスベガスショーのプレゼンテーションで、HPHTおよびCVD合成ダイヤモンドに関する最新動向、そしてこれらを鑑別するGIAの技量に関する発表を行いました。

「合成ダイヤモンドは、販売される際に適切に情報が開示されている限り、業界に存在する意味があります。

GIAの研究チームは、数十年にわたって天然ダイヤモンドと合成ダイヤモンドの検査に従事してきた経験があります。

高度な技術を利用したGIAの研究では、人工ダイヤモンドを確実に鑑別し、天然宝石から区別することが可能になりました。

天然ダイヤモンドかラボで製造されたダイヤモンドかを確認する目的でグレーディングのために提出された全てのダイヤモンドを検査するのに加えて、GIAはメレダイヤモンドのパーセルを選別する特別なサービスも提供します。

このサービスにより、合成ダイヤモンドから天然ダイヤモンドを区別することができる優れた分析をクライアントに提供することが可能となります。」

博士は、合成ダイヤモンドと天然ダイヤモンドを確実に選別できる新しい機器、GIA iD100に関しても説明しました。

見直される天然ダイヤモンド4Cの希少価値

天然では数少ないタイプ2の合成ダイヤモンドがラボの中で量産される中、今まで以上に天然ダイヤモンドの評価基準である「4C」の希少性が見直されています。

すなわち、無色透明にどれだけ近いか、内包物はどのくらい少ないか、そして最も重要な何カラットの重さの天然ダイヤモンドであるかという、希少鉱物に対する国際基準で定められた価値判断が、天然ダイヤモンドにとって改めて重要性を帯びているのです。

欧米先進地が元々そうであるように、消費者のダイヤモンド選定条件は原点に戻りつつあると言えるでしょう。